日本電子出版協会の著作権セミナー第1回「改正著作権法解説」(全5回)に参加

講師を務める松田政行弁護士のコメントを備忘録的にメモしておきます。

松田弁護士自身の最後のまとめコメントが非常に良くまとまっていたので、それをベースにしていますが、適宜、自分の言葉でまとめ直しています。

  • 今回の改正で今までの宿題を一気に片付けた感があるが、実務はもっと先に進んでしまっている
    • 権利者が不明な場合の裁定制度が簡素化されたが、NHKはオンデマンド配信に必要な演者の許諾確認作業を、CPRA(芸団協 実演家著作隣接権センター)一任する方式をスタート。CPRAは実際にはそんなに頑張って探さない(笑)何人か申請してきた人に支払っているけれど、これまでのところ問題は起きていない
      • 北欧ではすでに条文化されているが、日本ではビジネスの必要上から生み出された(北欧の事例を参考にした訳ではないとのこと)
    • 国会図書館では新刊図書の電子化を権利者の許諾を得ずに行うことが適法になったが、Google Book Searchの和解成立で、権利の切れた書籍だけだが、商業利用への道が開けてしまった。
      • 国会図書館で電子化された書籍データは、各地の図書館の端末で閲覧可能とするところまで視野に入っている。が、そこまで来たら、ネット経由で自宅からも利用だ来たら便利だと思わないだろうか?
      • 新刊を許諾なく電子化できるという点では、この改正はGoogle Book Searchより進んでいるかもしれない。電子化にはコストがかかるが、出版社が国会図書館にデータで納品することはありえないだろうか? 国内書籍に関してはGoogleではなく、国会図書館がハブになる可能性はないだろうか。
  • 著作権法に、世の中の矛盾が最初に(もしくは先鋭的に)表出してきているのではないか。
    • コンテンツビジネス振興という国策があるが、東大の先生が考えているように、法律を変えればそのようなビジネスが生まれる(ネット法派の主張)かどうかは疑問
    • ビジネスモデルを確立していきながら、広く関係者で協議しながら著作権について議論していく必要がある必要がある。フェアユースなんかも含めて。上から法律を変えて守らせようとしてもうまくいかない。なぜなら、文化だから


改正の具体的な内容については、割愛しました。ネット上では、ダウンロード違法化の文脈で語られることが多かったと思いますが、国会図書館Google Book Searchの話は、なかなか刺激的でした。Google Book Searchの和解については、アップデートがあれば今後も言及していくということでした。


話題のTwitter実況中継してみたかったんですが、"Tsudaる"のに適当なノートPCが無いのであきらめました。配布された紙の資料(A4)が入る鞄も持っていなくて、いろいろ足りないものがあることにも気付いた久しぶりのセミナー参加でした。


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